第四話~孤狼の哀歌(塚原一平編)

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(塚原) 「どないした。龍聖」  龍聖の拳の下にある塚原の表情は不敵に笑っている。 (塚原) 「えらい迷っとるやないか。人を殺す時は迷たらあかんのとちゃうかったんか」  龍聖は一度拳を引いた。 (龍聖) 「やかましい!!」  再び、つき出される龍聖の拳を塚原は右掌で受け止めた。そして左拳を龍聖の鳩尾に突き上げる。 「うぅぅ」と龍聖は唸りながら前屈みに体を折った。塚原の右拳が龍聖の顎を捕らえた。龍聖が後ろに倒れこむ。 「龍聖さん!!」と叫び手下達が駆け寄ろうとする。 (龍聖) 「来るな!!じっとしとれ!!」  言って龍聖は上半身を起こした。 (龍聖) 「……夢……希望……そんなもんヘドが出るわ!!」  龍聖の口から血の混じった唾が吐き捨てられた。茶色い瞳には幾重もの赤い筋が目立つ。 (龍聖) 「塚原ぁ。お前だけは絶対に俺がぶち殺したる」  龍聖の様子は明らかに変わっていた。表情から余裕は消え、般若を思わす狂気の形相になっている。  床に落ちていたナイフを拾い上げ龍聖が立ち上がった。 (龍聖) 「殺したる……殺したるぞ塚原ぁぁぁ!!」
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