110人が本棚に入れています
本棚に追加
/279ページ
(龍聖)
「大嶺組長には話を通してますよ。アガリからいくらか組に上納する形で話はついてる」
龍聖の顔から狂気は消えて薄ら笑いを浮かべている。谷山はやや間があってから言った。
(谷山)
「うちの組内ではクスリはご法度や」
龍聖は鼻で笑った。
(龍聖)
「それは俺には関係ない話や。俺はお宅の構成員とは違いますしね」
言って龍聖はタバコをくわえた。煙を吐きながら言葉を続けた。
(龍聖)
「組長さんが納得してる事やしそれで良いじゃないですか。お互い上手い事やっていきましょうや」
谷山はうっすらと微笑んで、「せやな」と呟いた。そして、スーツの内ポケットに手を入れた。
(谷山)
「龍聖、火ぃ持っとぉか?」
言われて、龍聖はライターを取りだし谷山に近づいた。
沈黙していた塚原が「あっ!!」と思わず声を漏らす。
内ポケットから出てきた谷山の手に握られていた物はタバコではなく、ドスだった。
ドスが龍聖の太ももに突き刺さる。
龍聖は刺された箇所を押さえながら横向きに倒れこんだ。
(龍聖)
「……ぐぅぅ……なんで……全部金で」
谷山がドスを鞘に戻しながら、しゃがみこんだ。
最初のコメントを投稿しよう!