110人が本棚に入れています
本棚に追加
/279ページ
谷山は龍聖の顔を覗きこんで言った。
(谷山)
「ええか。よぉ聴け。世の中にはなぁ。お前の物差しだけでは計られへん事もあるんや」
谷山は言葉を一度切って周囲を見渡した。
(谷山)
「なんぼ組長が納得しても……ワシはガキ共に土足で庭荒らされるんは我慢できん!!龍聖、お前跳ねすぎたのぉ」
龍聖は血と汗にまみれた顔で谷山を睨みつけた。
谷山は立ち上がり、塚原と目が合った。
(谷山)
「兄ちゃん。お前も龍聖の仲間か?」
塚原は首を横に振った。そして、床に気絶している三浦を指差して、
(塚原)
「あいつも違う。あいつは俺の連れや」
谷山は「そうかい」と言って頷いた。そして自分の組員達に視線を向けた。
(谷山)
「龍聖の仲間全員さらえ」
谷山の指示で一斉に組員達が動き出す。いくら荒くれ者ばかりの龍聖軍団とはいえ、倍以上人数がいる「プロ集団」には敵わない。
次々と引きずられて連れていかれる。
大柄な組員に引きずられる龍聖が生気のない目で塚原を見た。
その様はまるでマネキン人形が運ばれているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!