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すべての「運び出し」が終わり、塚原と気絶している三浦、そして谷山だけがビル内に居る。
谷山が塚原に言った。
(谷山)
「兄ちゃん。ええ目しとるのぉ。度胸もありそうやし。どうや?うちの組に入ってワシの舎弟にならへんか?」
塚原は「せっかくやけど」と言って気絶している三浦を見た。
(塚原)
「自分の進むべき道がもう見つかったんです」
塚原はかつての塚原からは想像できないくらい晴れやかな笑顔になった。谷山は頭をかきながら言った。
(谷山)
「そんな、ええ笑顔で言われたら、これ以上は誘えんのぉ。よっぽど素晴らしい道が見つかったんやな」
(塚原)
「まだわかりません。でも、この道を命懸けで俺に示してくれた奴がいる。だから俺は命をかけてこの道を歩いていこうと思うんです!!」
谷山は呆れた表情で塚原から目を離して、出入口の方向を向いた。
(谷山)
「あかん。これ以上聴いとったら、ますます兄ちゃんをスカウトしたくなってまう。我慢は体の毒。退散退散」
そう言って谷山は立ち去っていった。
30分後、出先の三重県から相田が駆けつけた
塚原と三浦の様子に相田は腰を抜かしそうになりながら、救急車を呼んだ。
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