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塚原の表情が快晴の笑顔になる。
(塚原)
「当たり前やろ!行くに決まっとるやんけ!」
塚原は二回、三浦に連れられてお笑いの劇場に足を運んだ。
塚原にとって初めての劇場。
塚原の中でお笑い芸人は皆、ふざけたオチャラケ野郎の集団だと思っていた。
しかし、目の前の舞台上で汗を飛ばし、必死に笑いを取ろうとする彼らの姿は間違いなく戦う男の姿そのものだった。
塚原の中で何かが揺さぶられた。気づけば塚原は椅子から落ちそうなくらい前に身を乗り出していた。
初めて三浦と劇場に行った日から塚原は胸に熱い物を抱えるようになっていた。
――1998年10月某日――
今日は朝から塚原も三浦もソワソワと落ち着きがない。
緊張感がピークに達した頃に休憩時間がやってきた。
二人は駆け足で店の出入口にあるポストへ向かった。
ポストを開けるとそこには二人宛の封筒がある。差出人は「株式会社越本興業」
二人はそれぞれ自分宛の封筒を手に取った。
三浦が興奮気味に言った。
(三浦)
「なぁ兄貴。せえーのっで見よな」
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