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三浦は顔を上げた。
(三浦)
「兄貴、俺、兄貴に申し訳なくて……」
三浦は泣きそうな顔になっている。塚原は三浦を鬼の形相で睨みつけた。
(塚原)
「何が申し訳ないねん!俺はお前に感謝しとる!!死に場所を探しとった俺に生きる光を与えてくれたんは、お前や!!」
「兄貴」と呟いて三浦は下を向いた。テーブルに大粒の涙雨が降り注いだ。
――翌日――
越本興業別館ビルの四階レッスンルーム。
床に座っている大勢のKGS22期生達の前で一人で塚原は立っている。
(塚原)
「とゆうわけで、今相方募集してるんでよろしくぅ」
ドスの効いたしゃべり口調、威嚇するような鋭い目で塚原は相方募集を行っていた。クラス全体が若干引いている。
塚原は同じクラスのKGS生が座っている固まりに戻る。
センターマイクの方を見ると、次にネタをするコンビがスタンバイしていた。
二人組のうち気の弱そうな男が言った。
「本多先生、パルーズ、ネタ始めてよろしいですか?」
今日のネタみせ授業の講師本多いさむが何の感情もこもっていない声で「どうぞ」と言った。
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