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5年前のあの日故郷を共に旅立った相方も同じ気持ちだと思っていた。
大阪ミナミの街をオドオドしながら面接会場を捜し歩いた二人。
まだ当時は高校生だったので地元の高校の制服で面接試験に臨んだ二人。
たどたどしく、くだらない一発ギャグの連発だけの漫才…北海道に帰ってから当然のように届いた不合格の通知。
お笑いの本場大阪でお笑いを肌で学ぼうと高校を卒業した翌年春から二人で大阪に住み始めた。
狭いアパートの部屋で一つのカップラーメンを二つのお椀に分け入れて二人で啜ったあの頃…
佐藤と野口の頭の中には超売れっ子のお笑い芸人になる事でイッパイだった。
笑ってしまうくらい純粋だったあの頃が今現在センターマイク前に一人取り残された佐藤の脳裏には浮かんだ。
(面接官)
「論外やな!もう帰ってくれるか」
うなだれる佐藤の頭をハンマーで殴りつけるかのような面接官の言葉。
(佐藤)
「ちょ💦ちょっと待ってください!野口君呼び戻してきますから💦どうか面接のやり直しを💦」
必死で懇願する佐藤を冷たく突き放すように面接官は口を開く。
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