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(面接官)
「あのなぁ…後ろ見てみ…」
佐藤の後ろにはパイプ椅子に座るたくさんの芸人志望の若者達が座っている。
(面接官)
「まだイッパイ面接せなアカンねん…君がずっとそこにおったら凄く迷惑になる事くらい…理解する頭あるよね!」
冷たい口調、そしてゴミを見るような嫌悪感たっぷりの目で佐藤を睨む面接官。
佐藤は下を向き固く目をつむり下唇をぐっと噛んだ。
フゥーっと、ゆっくり息を吐いた後、
(佐藤)
「……ありがとう…ございました…」
小さく呟き面接会場を後にした。
エレベーターで一階に降り、外に出て今日4階で面接が行われた「越本興業別館ビル」を見上げる。
佐藤の脳裏には初めてこのビルを訪れた5年前の事がよぎる。
5年前
(野口)
「おい、佐藤!やっぱ俺達だけじゃん!高校の制服で来てるの!みんなスーツだぜ!俺達スゲーダセェじゃん!」
(佐藤)
「大丈夫だよ!野口君!いつかこれも良い笑いのネタになるよっ!売れっ子になった時テレビで話そうよ!俺達ダサダサでしたぁ~ってさ!」
佐藤の言葉に野口は無邪気な笑顔で、
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