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(野口)
「そうだな!なんでもネタにしちまおうぜっ!俺達無敵のお笑いコンビだもんなっ!」
(佐藤)
「無~敵ぃ~」
佐藤は白い歯を剥き出しにしながらおどけて見せた。
(野口)
「よぉ~し!じゃあ伝説の幕開けといこうか!」
(佐藤)
「幕開けぇ~幕開けぇ~」
18歳の二人は高校の制服姿で「越本興業別館ビル」に入っていく。
希望という名の追い風を背中に受けながら…
5年前を思い出す佐藤の心にはなんだか寂しく切ない思いが広がった。
(佐藤)
「…今日の野口君のスーツ…かっこよかったなぁ…あれどこのブランドだろう?…また…お客さんに買って貰ったのかなぁ…」
冷たくなり始めた10月の風が佐藤の体にしみ渡る。
北海道育ちで寒さには強い佐藤だが今日の風は身に染みる。
時刻はお昼を少し回ったところ。
難波の商店街をトボトボ歩く佐藤。
ランチタイムで賑わう商店街で同年代のサラリーマン、OLを見ながら佐藤は思う。
(そろそろ潮時かなぁ…もう23歳になっちゃたし…就職活動……するなら…今かな…するなら…ハァァァ~…)
佐藤は今現在コンビニで深夜アルバイトをしている。
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