第四話~孤狼の哀歌(塚原一平編)

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第四話~孤狼の哀歌(塚原一平編)

 何故彼はそんなに鋭い目を人に向けるのか。  何故彼は触れるものすべてに牙を剥き出しにするのか。  何故彼は傷を隠すのか……  深夜の警察署。出入口では違法商売をする外国人ホステス達が制服姿の警察官達に連れられ入って来る姿が見える。  そんな出入口に汗を飛ばし息を切らす男が走り込んできた。目尻のシワと生え際が後退した白髪混じりの前髪が男を中年である事を窺わせる。歳は50がらみだろう。  男は警察署のガラス扉を押し開いた。
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