届かない手

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「そんなっ・・・」 やっとの思いでレイが声を絞り出した。そしてゆっくりと聖堂の真ん中の通路へ足を一歩踏み出した。 あぁ・・・やっぱり・・・やっぱり・・・生きていた・・・ ずっと・・・ずっと・・・2年間・・・あんたを探してたの・・・ 何度も何度も、心が折れそうになった・・・2年前のあんたを見たから・・・まるで天に吸い込まれていくように消えてしまったあんた見てしまったから・・・もしかしたらと・・・ でも・・・やっぱり、やっぱり・・・生きていてくれた・・・そして、また会う事が・・・ 「リーシャッ??」 ストッパーがなくなったかのようにレイはその少女に向かって走り出す。 「レイさん待って?」 しかし、走り出した途端、近くにいたティアがレイにガバッと抱き着き、その行く手を遮った。ティアのその行為でレイは我に返る。 目の前にいる少女に再び視線を戻す。そして、今の状況に違和感を覚えた。 リーシャはこっちを向いているが、その表情にはおおよそ感情と呼ばれるものが何もなかった。無表情、無感情、そんな虚ろのような表情でこちらを向いている。 私たちは2年ぶりに再会した。ずっと会いたいと思っていた、やっと・・・やっと会えたのに、なのに・・・
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