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まだ少し肌寒さが残る中で暖かい春の日差しが教室の窓を通り抜け差し込んでくる。
短くまとめられていた綺麗な紫色の髪の毛は腰に伸びるほど長くなり、幼かった顔立ちは昔よりも大人びた。
その少女は授業中なのにも関わらず窓の外を眺め、暖かい日差しを受けながら上の空で先生の話を聞き流す。
あんたがいなくなってから私の世界は止まったままだ…
「レイ」
名前を呼ばれ顔を上げるとそこには私と全く同じ表情を見せる少年がいた。
「………行こうぜ」
いつの間にか終わっていた授業は学校の終わりも告げていた。
「………そうね」
私はいつも通り何の感情も込めずそっけなく呟いた。
ハルも私と一緒…あんたたちがいなくなってから時間が、世界が止まってしまったんだ。
もう2年がたった…私たちは中等部生から高等部1年生となり、少しだけ大人になった。
「レイ―!!ハル―!!」
校舎を出ると玄関から見知る人たちが私たちの名前を呼んで手を振っている。
「あっ!!先輩!!」
そこにいたのは今年で高等部3年となるライトたちの姿だ。
カレンが大きな声で名前を呼び手を振っている。
そんな先輩の姿を見て私たちにも自然と笑みがこぼれた。
「よっ!!」
「おっす!!」
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