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母が名前について過敏なのは、彼女の名前が石美だからだろう。母は子供の頃、自分の名前が嫌で嫌で随分悩んだと言っていた事がある。祖父母がこんな名前を付けた意味は、石は石でも、磨けば光るダイヤモンドの原石という意味らしいが、幼かった母としてみれば、
「石なんてその辺にある石と一緒じゃん!」
という事だったのだろう。
しかし、幾ら私が人からいい加減に生きていると感じられたって、まさか自分の可愛い子供に、冗談で名前を付けたりはしない。産まれた当の本人だって、ほおずきという名前をお気に入りだ。病院で名前を呼ばれたって知らない人から、
「可愛い名前ね。誰が付けてくれたの?」
と話し掛けられるくらいである。
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