序章 始まりの鐘

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を掻きむしり、席を立つとコートを羽織り、踵を返した。  足早に出口へと向かうイーザラの背中を目で追いながら、ランバートは一言呟いた。 「気をつけろ。お前を狙っている連中が潜んでいる」  バーを出た時には既に雨が止んでいた。空を見上げると青空が広がっていた。  元来た道を戻り、大街道へ出るとさっきまでとは違って人が少ない。 「さてと……次は例の教会を調べに行くか」  そう呟くとイーザラは歩を進め、数十分した場所にある廃墟となった教会へと赴いた。全てが塀によって囲まれているせいか、どことなく薄暗い。  匿名で依頼が入ったのは2日前のことだ。 “イタリアに存在する廃墟となった教会で怪しげな男たちが出入りしているという不穏な噂があった為、調べてほしい”という内容だ
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