○●物語 2

2/2
前へ
/2ページ
次へ
中から出てきたのは男だった。 荒涼とした大地に這い出すと、大きく伸びをする。 太陽が照らさないこの地は酷く寒い。男の冷たい吐息がこの広い、静寂な地に響く。 暗闇の中を男は歩き出す。光などは必要もない。眩しいまでの星明かりが彼の道行く先を案内してくれるからだ。 彼はただ、歩く。 空を見上げれば一面の美しい星。だけども気にしない。 ──この荒れた世界に彼一人。 だけども彼は気にしない。 彼には仕事があった。その仕事をこなさない事には何も始まらない。 (……ついてない) 凍える体をコートで覆いながら一人ごちる。 そして、男は立ち止まった。 その先には……。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加