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濡れたパーカーとジーンズを脱ぎ、風呂場で絞ってから乾燥機へと入れた。
下着をどうするか考えるも、まさか脱いでジャージを着ることも出来ない。
タオルで水気をとって、そのままジャージを着た。
黒色に白と赤の線が入ったジャージ。 サイズが大きく、2つ折り曲げてもまだ長い。
「自分は手足が長いという自慢ですか」
そっと突っ込みを入れ、姫島を思い出す。
長くバランスの取れた手足。 整った顔立ちに、明るめの茶色い髪が少し目にかかる。
物腰も柔らかで女性うけはよさそうだった。
ただ、自分にはそれが胡散臭く思えてならないが。
ドライヤーを借りて頭を乾かすも、途中で面倒になりやめてしまった。
どうせまた雨の中を走るんだから、このままでもいっか。
スポーツタオルを首から下げ、姫島の居るリビングへと向かう。
リビングは、エアコンがかかり暖かかった。
「ココアでいいですか?」
ソファーを勧められ、マグに入ったココアを手渡される。
自分に拒否権は無いようだ。
「着替えありがとうございます。 後ココアも」
お礼を言うと、姫島は少し驚いた表情をみせた。
しかしそれには気付かず、少しずつ暖かいココアを飲む。
冷えた体が温度を取り戻していく。
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