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「服が乾いたら送っていきます。 どこへ向かう途中でしたか?」
ソファーに腰掛け姫島が優しく問う。
「それって素? 違いますよね?」
しかし、私は問いとは全く関係無い返事を返す。
えっ? という表情の姫島に更に続けた。
「何をを隠してるのか何なのか知らないけど、その笑顔胡散臭いですよ」
リビングにシーンと重い沈黙が流れる。
あぁ、ヤバイかも。
自分が作り出してしまった空気なのだから、なんとかしなくては。
そうは言っても
『ウソウソ、冗談ですよ。テヘッ☆』
とかやって流せる雰囲気ではない。
自分の口の悪さを呪った。
いつだって、思ったことを直ぐに口に出してしまう。
私が何か言う前に、姫島が静にソファーから立ち上がった。
咄嗟に警戒の色をみせて身構える。
よっぽど無いとは思うけど、もしかしたら一発くらい殴られるかもしれないと思い。
そんな私の雰囲気に姫島はクスクスと笑い声をあげる。
「そんなに警戒しなくても、なにもしませんよ。
そういう風に言われたのがはじめてだったので、少し驚いただけです」
「ごめん。 別に悪気は無かったんだけど……」
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