シアン[過去]-初めての友達-

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「悪ぃ。大丈夫か?」 「大丈夫?」 目の前には朱色の髪と目をした ガッシリした身体の男の子と、 流れるような綺麗な金髪で 蒼い目をした女の子が 手を差し出していた 「大、丈夫…」 少し痛かったが、酷い痛みと いうわけでもないので 僕はそう答えた 「馬鹿。痛そうに、 顔しかめながら何言ってんだよ」 「はぁ、 貴方が悪いんだけどね…。 貴方も、無理しないの」 「無理なんてしてな…」 「はい。ぐだぐた言わない」 女の子に鼻を押されて 注意される 「立てるか?」 心配そうに僕の顔を 覗き込む男の子 「馬鹿ね。男が女の子に 優しくするのは当然でしょ? 立ち上がらせてどうするの。 貴方が医務室に運ぶのよ」 そして女の子が 男の子をたしなめるように そう言った (え?待って! 僕を女の子とか言わなかった?) 「早くその女の子を 運んであげなさい」 (言ってるよね…) 「僕は男だよ!!」 「あら、綺麗な顔だから 女の子だと思ってたわ。 ウフフ」 (わざとじゃない?) 「ほら、行くぞ!」 「え?うわぁ!!」 僕の体が宙に浮いた、と 思ったら男の子の肩の上に 乗せられていた 「どうせならお姫様抱っこ してあげなさいよ」 (女の子扱いは絶対わざとだ!! 僕を男ってわかってるのに やってるよ!!) 突然男の子が足を止めた 「先生ー!居ますかー?」 男の子が部屋の前で 立ち止まって声を張り上げる 医務室に着いたらしい 「あの、もういいよ? 医務室着いたみたいだし、 僕そんな酷い怪我してないし」 「お前、 無茶ばっかしそうだから だめだ!! それに、俺がぶつかって お前を怪我させたのに 遊べるわけねぇだろ? あ、謝ってなかったよな! ごめんなさい」 「僕がボーッとしてたのが 悪いんだし、謝らないで? 二回目だし…」 「え!?マジで?」 「ぶつかったときに、 悪ぃ、 って言ったのを 謝ったって考えるなら 二回目よ」 「いや、 あれは謝ったうちに入らない」 「え?でも…」 「グダグダ言うのは 貴方の悪い癖よ? お姫様は騎士(ナイト)に 守られるものでしょう?」 「だから僕は男だって!!」 「あら、そうだったわね。 ごめんなさい。ウフフ」 (口でこの女の子に 勝てる日は来るのかな…)
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