シアン[過去~最近]-孤児院卒業-

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ドアを開けると家の中はがらんとしていた 物が何もない 生活に必要なものも何もかも… 近所の人に聞いて分かったことは両親に関する手がかりは警察が持って行ったということだけだった 警察に行って身内だと話したが、手がかりは身内にも渡せないらしい 警察に話を聞いていると逆に質問をされた 「両親の行きそうなところとか心当たりある?」 「いえ。すいません」 「じゃあ職業は?」 「…」 そう言えばなんだったんだろう… 「知らないか…じゃあいいよ。気を付けて」 「役に立てなくてすいません」 それだけ言って帰ろうと足を進めた 結局何も掴めなかったと肩を落としながら… 後ろからさっきの警察と別の警察が会話しているのが耳に入った 「なぁ、さっきのあの子って例の子だろ?」 同僚と話しているのなら俺に言えなかった事を言うかも知れないと思い、壁に身を寄せて聞き耳を立てることにした (それにしても『例の子』ってなんだ…?) 「あぁ… 両親の事知らなかった。 言わなくて良かったんだろうか?」 「知らせなかったんだろう。 実の息子に 『俺は怪盗だ!!』 なんて言う親は居ないさ 気に病むなよ。 言わない方があの子の為だ」 あの警察は今何を言った?俺の両親が怪盗?泥棒? 犯罪者? そんな、そんなわけないだろう!? 有り得ない… 俺の聞き間違えか? 早く冷静にならなければ… 混乱する頭で真っ先に考えたのは兎に角、警察署から出ることだった 「はぁ…疲れてるんだろう俺は…」 バイトの時間も近づいていたため、急いでバイト先に向かう 警察署内で聞いたことを全て疲れのせいにしたかった 警察署から家に戻って考えた 俺の両親は犯罪者なんかじゃない!! 頭の中で何度も叫んだ でも頭では分かっていた 思い出す限りでは両親はずっと俺と居た 職が無かったと言うのも考えたが俺の家は比較的豊かな方だった 金の手に入る職業をしていたことは確かだ 俺の見てないところで働いていたんだろう 夜、人の家に忍び込んで… 何の為に? 俺の両親はそんな事をするような人じゃないと思っていたのに… 理由があったのか? どんな? 泥棒だから何かの事件に巻き込まれたのか? 「そう言えば…」 母がいつもつけていた指輪をもっているんだった 子供の時には解らなかった何かに気がつくかもしれない ポケットから指輪を取り出し机の上に置いた 指輪の裏側には謎の文字が彫られていた
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