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懐かしい母の字だった
手紙はそこまでしか書かれていなかった
字の色をよく見ると赤色だった
黒く濁った色
その手紙は血で書かれていたのだ
手紙には字以外にも所々血が付着していた
床にもおびただしい程の古い血の跡が残っていた
人間の体内の中の血を全て出したくらい一面が真っ赤だった
そしてその跡は入り口まで続いていたおそらく此処で手紙を書いている途中撃たれ、入り口まで運ばれたんだろう
手紙はリビングに出して置くよりも此処の中に入れておくほうが見られないからくしゃくしゃに丸めて捨てられた…
と考えるのが妥当だ
母さん、父さん悪い…
俺は今まで生きてきて
精一杯いい子でいたつもりだ
だけど
貴方達の言いつけを破らせてくれ
親の最期の願いを
聞かないなんて
とんだ親不孝もんだよな
でも俺は貴方達が好きだった
だから奴等が許せない
普通の生活をして居ても奴等には会えないだろう
奴等に会うには怪盗として有名になるしかない
犯罪者でもいい
奴等に復讐出来るなら
盗むにしても
善良な市民からは決して奪わない
それだけは誓うから
だから許して下さい
それから俺は怪盗シオンとして生きることを選んだ
親から貰った初めてのプレゼント(名)を使いたくて真ん中の一文字を替えただけのコードネームだ
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