戦場と少女

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誰もが、少女をほめそやした。まだ遊び回るのが仕事であるような年頃の筈の少女を。 とある中東、戦場。 アハトと呼ばれる青年は風に髪を煽らせながら銃の手入れをする少女を見つめていた。砂まじりの風は髪を乱したが、それよりも目は余念なく銃と向かい合う少女へと向けられている。 少女は柔い色の黒髪をひとつの三つ編みにし、肩に流している。華奢という他ない肩は薄い水色の布で覆われていて、アハトはそこまで視線を滑らせたところで少女の衣服がセーラー服というものである事を思い出した。極東の島国ではローティーンの少女の学校制服として一般的なものらしいそれを、なぜ少女が身に着けているかアハトは知らない。 只、その服を纏った少女が戦場で縦横無尽に敵を殲滅するのを知っているだけだ。
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