2:泡沫のマカロン

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「……大丈夫……?」 真っ白な早桜が手にしていたのは真っ白なハンカチ。 智之の冷や汗をポンポンと拭う。 何時の間にか近付いて来ていた彼女からは薔薇の庭の薫りがした。 「ありがとう……」 「……」 早桜は笑った。 その静かな笑顔を微笑というのだろう。 風に靡いた髪が美しく、また、彼女の儚さを引き立てた。 手が髪に伸びたのは、瞬間、早桜を“欲しい”と衝動に駆られたからである。 ちょうど、依斗と智之が混じり合ったような感じだ。 早桜をもとめた気持ちも、その掬った先に唇を当てたのも、同じ強さの想いだ。 「……貴女が、人の物でなかったなら、私は、もっと貴女に触れられるのに……」 智之は指先に絡まる糸を引き寄せて、泣きそうな顔をした。 早桜は確かにその刹那ーーー恋をした。 お互いに強く惹かれながら、まだ、時は止まったままだった……。
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