1:駄菓子の戯言

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黒須は表に出て来ては小さな記憶の欠片(かけら)を日向と百合子に渡した。 自分が失われてゆく中で、二人に知っていて欲しいことがある。 託された思いを返さなくてはならない。 もう、時間が無い……ーーー 最終判断を下す時は直ぐそこまで忍び寄っていた。 日向はそんな不穏な空気を少なからず感じ取っていた。 智之も黒須も語りはしないが、気付いていたことがある。 日向はちょうど良い機会だと思い、素朴な疑問を投げ掛けた。 「なぁ、黒須……? 今井は……否、貴様は早桜さんが好きなのか?」 唐突な質問に焦った自分が正解を語ってしまうことに気付くが時既に遅し。 真っ赤な顔の黒須に百合子達の方が恥ずかしくなってしまう。
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