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智之は恐る恐る庭に降りた。足は乗り気ではない。
早桜は智之に気付くと幼い顔で微笑む。
智之はドキッ、とした。
「こんにちは」
「……こんにちは……」
智之は早桜に踏み込みたいと思う反面、依斗の想いに混乱していた。
どろっ、とした熱い塊は依斗の物で、違和感満載である。
彼女を愛する鼓動は智之のものでもあり、依斗のものでもある……。
一つ身体で二つの想いーーーややこしいけれどそれが事実だ。
智之は打ち付ける心臓を服の上からギュッと鷲掴みにした。
苦しくて、だけど、譲れないーーーそんな葛藤が渦巻いていた……。
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