始まり

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何時間か、何日か。それとも、まだ病室から出てさえいないのかもしれない。 そんな風に思うほど記憶がなかった。 背中の痛みが、ずっと寝ていたのだと知らせていたが、手術前の記憶も曖昧でよく思い出せない。 気持ち悪く、吐き気がする。でも、体は思うように動かなかった。 ぼやける視界のすみに写るのは、何本ものチューブ。それが自分の体に向かって伸びていた。 いまいち感覚はないが、この、命を繋いでいるだろうチューブが体に繋がっていることがまた吐き気を強める。 とりあえず、手術は終わったらしい。目が覚めたということは少なくとも最悪の事態は免れたのだと思う。 結局、私は2日程眠っていたらしい。 私の中で最長記録だ。2日間眠らなかったことはあるが、10時間以上寝たことはなかった。 2日徹夜した時は3日目には部活に行く途中、自転車を運転しながら寝てしまって目が覚めた時には道路の脇に植えられた植木の上に寝ていた・・・。自転車が倒れたままタイヤがカラカラと回っていたから寝ていたのは数秒だったのだろう。 なんとなくそんなことを思い出したけど笑えなかった。 絶えず、気持ち悪さが沸き上がってくる。 気持ち悪い時は吐いて寝るのが一番だと思うのだが、体は動かないし、眠くもない。 未だにぼやける視界でしばらく天井を見ていた。
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