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クリスティーナは『6番目の姫』として、お城で過ごすことになりました。
『人魚姫』と呼ばれていた頃もありました。海で見つかり、口がきけない。人魚姫みたいだと。
しかし、初めは距離を持っていた城の者たちも、クリスティーナと親しくなっていきました。礼儀作法はきっちりとしているし、言葉は発せずとも、表情で彼女の誠実さや優しさが伺えたからです。
特に、王と王妃には気に入られました。
足腰が弱くなった王の手を、そっと支えたり、王妃が疲れている時には冷たい飲み物をすぐに持ってきたり...と気が利くからです。
そして、誰よりも踊りが上手でした。
宴では、いつも彼女が主役になりました。
エバンは毎日、求婚をしましたが、クリスティーナは申し訳なさそうに首を横に振るだけ。
そして、夜な夜な海を見ては、ハラハラと涙をこぼしていました。
そうして日が過ぎて行きました。
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