燕の1日

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「むー」 「頬を膨らませても駄目だ」 「ちっ」 この石頭め……。 「で?用はそれだけか?他に用がねぇならさっさと出てけ。俺ぁ忙しいんだ」 あっさりと話題変えやがった。 でも残念。 話はまだあるんですよー。 「先程斎藤組長から聞きました。辻斬りが多発しているそうで」 土方さんが、ぴくりと反応した。 「なんだ。お前の耳にも届いたのか」 「えぇ」 私が頷いてみせると、土方さんはずっと持っていた筆を置くと、私と真っ正面に向き直った。 「お前は総司が何か命じねぇ限り、屯所からは出ねぇだろうからな。別に言わないでいいと思ってたが……。知ってるなら教えてやる」  
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