燕の1日

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クスリと笑うと、土方さんは訝しげな顔で私を見た。 「土方さんのことじゃありませんよ。じゃあ、私は女中の仕事のお手伝いがあるので、失礼します」 ゆっくりと立ち上がり、微笑んでみせる。 「あ、私まだ外に出たことないので、下見させて下さいね」 部屋から出る直前、振り向きざまに言ってから、襖を閉めた。       *** 今日は…………あ、そうだ。 今日は廊下の雑巾掛けだ。 あれ、凄い腰が痛くなるんだよね……。 ずっと同じ姿勢だから。 しかも、今は11月の下旬。 めちゃくちゃ寒いです。 そんな日に、水触るなんて…手が死にそうです。 「ちべたいー」  
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