タイムスリップ

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        *** それは、僕が巡察している時だった。 何やら、川の方が騒がしい。 何かあったのかな。 後ろにいる隊士達もそれに気付いたようで、僕を見ている。 「様子、見てこようか」 「はいっ」 騒がしい方へと歩み寄り、近くにいる人に話し掛ける。 「……あの、すいません。どうしました?」 作り笑いを浮かべると、その人は顔を真っ青にさせた。 「ひっ、壬生狼……っ」 「……どうしました?」 もう一度にっこりと笑ってみせると、顔を蒼白にさせたまま、蚊のなくような声で。 「見慣れない服を着た女子が、流されてて……。ほんのついさっき、皆で引き上げたところです」 「ふーん」 どんだけ間抜けなんだろうね、その女子。 足でも滑らせた? そう解釈した僕は、人混みをかきわけ、その中心へと辿り着く。 人々は、僕の羽織りを見て慌てて散らばっていく。 そんな光景、何度も見たことあるから何とも思わない。 むしろ、煩いのがいなくなって清々する。 改めて横たわる女子に近付き、しゃがむ。 何とも奇妙な服を着ているくせに、その顔は可愛い。 全身がびしょびしょで、顔色が悪く見える。 僕はその女子を抱き上げると、隊士達に振り向く。 「これ、屯所に連れて行くよ」 「え……?」 口を開けるのも無理はない。 「怪しい奴かもしれないしね」 言うと、隊士は納得がいったようで、すぐさま僕の後をついてきた。    
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