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「すべて貴様の策略だったという訳か……」
「そういうこと」
男がにっこりと微笑む。
……その笑顔が、ライネルをさらに怒らせた。
「貴様――!!」
ライネルは懐から拳銃を取り出し、眼鏡の男に向けた。
「おっと」
その瞬間、巨漢の男がライネルの間合いに飛び込み、拳銃を左手で押さえた。
「おりゃ!」
そのまま右手でアッパーを放ち、ライネルは一メートルほど飛び上がった。
……見事に伸びている。
「俺に勝とうなんざ百年早ぇ!」
巨漢の男が豪快に笑う。
「ダズ。笑ってる場合じゃないでしょ?早く済ませて、お暇しなきゃ」
「レイチェルの言う通りだ。急ごう。眠らせた他の奴らが起きる前に」
「おうよ!」
三人は入ったのと同様に、あっさり金庫を開け、札束や宝石を詰めた。
手際の良さが、こういうことに慣れていることをうかがわせる。
「はい。おしまい。行きましょ、ルーク」
「あぁ」
眼鏡の男はつぶやいた。
「ミッションコンプリートだ」
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