裏側

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アナタの側にいたかった。 だから いつも 笑ってた。 アナタが私を嫌わぬように。 アナタの機嫌を損ねぬように。 満月の夜 アナタが ふと つぶやいた。 「キミって なんか 月みたいだね」 「で、オレが地球(笑)」 少し考えてから 私は答えた。 「…そうね。アナタを中心に私は回っているようなもんだもんね(笑)」 いつもと変わらぬ 精一杯の笑顔。 アナタを 誉めて おだてて イイ気にさせてあげる。 それが私の役目だから…。 「ちがうよ(笑)キミはオレなんかいなくてもきっと生きていける。そういうことじゃないんだ。」 意外な答えに 驚く私に アナタは続けた。 「月ってさ、地球にはいつも同じ面しか見せないんだよね。裏側は絶対見せないわけ」 「同じ顔ばっかりしてるから、きっと疲れて、時々太陽の影に隠れちゃうんだろうね。月食の日くらいしか、一息つけないんだよ」 アナタの真っ直ぐな瞳が 私の顔に張り付いていた笑顔を 初めて …コワシタ。 私が思っている以上に アナタは 私のことを 知ってたんだね。 分かってたんだね。 アナタを見くびってたよ。 アナタが 私から 離れて行ったのは 私がずっと 裏側を見せなかったから? それとも 最後に一度だけ見せてしまった 裏側のせいだったのかな…。
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