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「ヒロ!!」
愛しい人の声が聞こえた瞬間、体を優しく支えられた。
「…にお…くん…?」
「ヒロっ!体熱いぜよッ!!なんでこんなになるまでっ…!」
仁王くんはずっと前に貸していた私の傘をさしていて、その傘を地面に落とすと私を抱きしめてくれた。
「…すまんの…ヒロを待たせるなんて彼氏として失格じゃ…」
「仁王くん…」
「ほら、帰るぜよ。看病してやるけぇ、大人しくしときんしゃい」
仁王くんは私をおんぶすると私が雨で濡れないように傘をさしてくれました。
あなたのそんな優しさが大好きです。
部活で疲れているはずなのに、自分の荷物と私の荷物と私を担いで…。
――迷惑かけてごめんなさい。
「…ヒロ、謝らんくてもええからな」
「…え……?」
無意識に口に出していたのでしょうか?
「ヒロは悪くないから。悪いのはヒロをこんなになるまで待たせた俺じゃ」
「いいえ…私が勝手に待っていただけですから……」
「待たせたのは俺ぜよ。あと、ヒロは病人じゃき、黙っときんしゃい」
「………はい…」
仁王くんの肩に顔を軽く埋めた。
恥ずかしかったから。
「…ぷっ…」
急に仁王くんが吹き出した。
どうしたんでしょうか?と思うと、彼は私が聞きたいことがわかったように口を開いた。
「ヒロの顔が近くてのぅ」
「…っ!!?」
熱とは違う熱さが顔を染めた。
ぷいっと顔を逸らすと、仁王くんがまた苦笑する。
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