182人が本棚に入れています
本棚に追加
「や~ぎゅ♪今日家に来ん?花火しよ」
「……えぇ、いいですね。お邪魔させていただきます」
少し悩んだ。
大好きな人からの誘いに。
それには理由があって…。
「や~ぎゅ♪線香花火でええ?」
「はい。ありがとうございます」
相手から線香花火を受け取った。
「どっちが長続きするか勝負するぜよ」
「えぇ。負けませんからね」
暗い庭に2人が座り、線香花火がパチパチと踊る。
それはとても綺麗で…。
私はずっとそれだけを見つめていた。
「…あ~…落ちた…」
先に花火が消えたのは仁王くん。
私の花火はまだ暗闇の中、踊っていた。
悲しげに一人で。
「柳生のよぅ続くのぅ…」
「……コツがあるんですよ」
そして消えた。
暗闇の中に2人。
仁王くんはコツを教えて欲しいのか、線香花火を差し出してきた。
私はいつものように微笑んで受け取った。
.
最初のコメントを投稿しよう!