回りはじめた歯車

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高2の終わりだった。 「未央(みお)っ!一緒に帰ろ」 …また来た。 「今日、遅いし…先帰ってて」 「…もうひっかかんねーかんな」 この手も、もうダメか。 「ハイハイ、分かったから」 ここまで仲が悪い会話を交わしていると、大抵私達の関係をきいたとき驚く。 「一緒に帰りもしないで、オレらなんで付き合ってんだょ!」 「好きだから。でしょ?」 「…~っ。とにかくっ!オレは待ってるかんな!」 そう言い残して去ってく始末。 意味分かんない。 「なんかさーっ、アレだよね。未央と凌(しの)の“好きの比率”って、1:9ぐらい?」 隣にいた彩(あや)が口を開く。 「………」 「未央は…凌のこと嫌いなの?」 はぃ? 「ううん。好きだよ」 「ふーん。意外」 「なんでよ…大体、コクったのだって私からだし。もう2年も続いてるんだよ?好きに決まってるじゃん」 倦怠期という倦怠期も、私達にはなかった。 「んー……。未央さ、凌の存在、彼氏ってより、家族っぽくなってない?」 「家族~?」 「彼氏に対する“好き”なら、もっとドキドキしない?」 ドキドキ。ねー 「…確かに。しないかも、ドキドキ」
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