回りはじめた歯車

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ドキドキってどんな感じだっけ。 「大人なら、家族みたいな存在にまでなってたら、結婚を考えられるけど、私達はまだ高校生だし、未央も凌と結婚なんて考えてないでしょ?」 「うん」 私がこの質問に答えるのに、時間はかからなかった。 しぶしぶと疲れきった足を歩ませ、凌の待つ昇降口へ向かう。 この時期の夕日は、痛い程に眩しい。 「あれ…?人?眩しくないのかな。」 廊下なんかで寝て… 気付いたら、私はその人の前にしゃがんでた。 …これといって変化はなし。 「いかないと」 立とうとしたのと同時だったと思う。 「…んっ」 寝ていたはずのその人に、なぜか口を塞がれている。 っ、キスっ!? 「っっ、な、なな、何っ!?」 「……悪ぃ」 立とうとしていた私はしゃがみこみ、寝ていたはずのその人は私に背を向け歩きだしていた。 「綾瀬、だよな」 少し振り向いたが、夕日で顔が見えない。 「え、…うん」 私は分かってしまったんだ。あの日のあのキスで、恋愛のドキドキを。 夕日に霞んでいくあの人を私は姿が消えるまで目が外せなかった。 「…凌…」 「おっ、未央っ!終わった?」
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