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「ごめん…んじゃなくて!真面目に?」
「うん」
「誰さ!」
…そういえば。
「知らない…です」
名前も歳も、…顔さえ怪しい。
「はい~!?どんな人?」
どんな…ねぇ。
「どんなって言うか。…廊下で寝てたことしか知らないんだよね」
彩の顔が困惑で満ちる。
「……廊下って、渡り廊下の前だったりする?」
すごい。
「まさに」
「その人、中川拓哉だよ!」
「なかがわ…たくや」
「中川拓哉かぁ。カッコいいけどねーっ、かなりの影ありだよ~」
彩の情報網の広さには、本当に感心する。
「…でもさ、中川って…」
「何?」
「あ、ごめん!他の人と間違えた~。それで、凌はどうするの?」
「…別れたよ。さっき」
『…そっ…か』
いつになく弱々しかった声
「まー、そうなるよね」
「うん」
まだ唇に残ってる感触。
…柔らかかったな…。
「あ」
沈黙を破る様に口を開いた彩の視線は外。
「え?…あ」
中川拓哉。
「………っ」
「ちょっ、未央っ!」
待って。遠くにいかないで。
「ハァ…ハァ…」
あれ?こっちの方にいたんだけど…
「……戻ろう」
彩ほったらかしだし…
元の方向へ直る。
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