○●物語 3

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その先には金属のような巨大な物体が蠢いていた。 (……お迎えか……チッ、マチルダの奴……) 男はコートを脱ぎ捨てると小銃を構えていた。 金属体は突然、複数の長い手足を広げ男に襲いかかった。 頭部の複眼からは、何やら奇妙なガスを放っている。 触覚からはビームが照射される。 (おっと、その手にゃのらねえな…人形め…) 男は身を伏せると同時に小銃を乱射する。 金属体の複眼と触覚が一瞬にして吹き飛んだ。 レーダーが壊れたのだろうか、金属体はグルグルと同じ場所を回転しはじめた。 男はコートを手に取ると周囲をユックリと見渡した。 「ちぇっ、一張羅が埃だらけだぜ……」 コートの埃を払いながら男は愚痴る。 コートのポケットからネズミ型の金属体が、モゾモゾと顔を出す。 『…ビヨンセ…モウオワッタノ…アレ!…アノ ニンギョウ…クルクルマワッテル…シマツシナイノ?』 「あぁ、シャーリー… 弾がもったいないから、あのままだ…」 『アッ…ビヨンセ、マダ コートキナイデ…ナニカガミギゼンポウカラ ヤッテクル!!』 男はコートをさり気なく羽織りながら愚痴る。 (…ついてねぇ、ウォーケンに感づかれた…人形を始末しとけば良かったぜ!) 遙か遠方より砂塵を舞い上げながら巨大な影が近付いて来た。 それは……。
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