二章『曲がり角ドーン作戦。』

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…。 何も言わなかった。 何も言えなかった。 「えっと…それはどんな感じな作戦ですか?」 山本さんが恐る恐る聞いた。 「簡単だ。 山本さんが学校の廊下の曲がり角で、相手の男にぶつかればいいんだ。 ぶつかった後は、流れが自然と仲良くしてくれるだろう。」 どうだ!と言わんばかりに僕を見てくる。 「そんなうまい流れなんてあるのか? ぶつかって『ごめんなさい』で終わるだろうよ。」 「マサよ、何言ってんだ。 曲がり角は常にDestinyなんだよ! 曲がり角のドーンにどれだけの魔力があるか、お前は知らないだろう? そう、あれは三年前の冬だった。その日俺は~。」 何か語りだしたぞ。 聞くのがめんどくさいので放っておく。 そして復活したトシが山本さんに聞く。 「で、どうする? 今の作戦でいってみる?」 「そ、そうですね。 今のところ、リョウさんの案くらいしかできそうにありませんし。」 「よっしゃ、そうと決まればさっそく実行だ。 明日の登校の時にぶつかっちゃいなよ。 善は急げだ。」 「バカめ。 これだから素人は困る。」 語り終えたリョウがトシに言った。
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