二章『曲がり角ドーン作戦。』

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またもや僕は何も言えなかった。 代わりにトシが聞く。 「その後どうだった? 大丈夫だったのか?」 「えへへ、大丈夫でした。 昔から頭は頑丈なのでそんなに痛くなかったです。」 恥ずかしそうに話す山本さん。 「いやいや、そうじゃなくて騒ぎにならなかったんか?」 「あー…その場は、こ、恐くなって逃げちゃいました。 あ、でもでもっ、姿は見られてないと思うので問題ないですっ。 その後も特に話題にもなりませんでしたし。」 問題はありまくりだろうが、騒ぎにならなくてよかったかな。 「騒ぎになっていた方が良かったかもな。」 リョウが言う。 「へ?どうしてですか?」 「騒ぎになった方が関係が作れるからさ。 少なくとも会ったら話す程度の関係にはなれるだろう。」 「おー、なるほどー。 確かに私と鈴木君は、未だに話したことのない、ただのクラスメイトですからね。」 山本さんが深く納得したように頷く。
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