一章『女の子が泣いています。』

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今日も、僕は河川敷に来た。 毎日来ている気がする。 大学生はサークル活動に励み、毎夜飲み会に出撃する。 そんなのは嘘だ。 僕は今日もこうして一人、河川敷に立っている。 やることがないからだ。 サークルに入るわけでもなく、大学に友人がいるわけでもない。 彼女もいない。 将来就きたい職業があるわけでもないから、学業に励むわけでもない。 将来はニートになるかもしれない。 ずっと心の中で独り言を言っているが 要はヒマなのだ。 僕は、ヒマになると河川敷に来る。 足が勝手に向かうのだ。 ただここにいてもつまらない。 おそらく無意識に楽しんでいるのだろう。 河川敷に来ると、確実に出会うやつらと一緒にいることを。 ほら、また声が聞こえてきた。
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