一章『女の子が泣いています。』

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そして 「あのっ、今好きな人がいるんですけど、その人と仲良くなるのに協力してくれませんかっ?」 と言った。 あぁ、リョウの欲望が、ガラガラと音を立てて崩れていくのが今にも聞こえそうだ。 隣で絶望に打ちひしがれて、号泣してるやつは放置しておく。 僕も少しだけショックを受けたのは内緒だ。 「あ、あぁ。 そんなことならいくらでも協力するよ…。」 何っ!? あいつ…恋愛経験0なのに引き受けやがった。 しかも、助けを求める目でこっちを見てやがる。 ムリだろ。 僕も隣のトシも同じく恋愛経験0なんだぞ…。 「ホントですかっ? ありがとうございます。」 女の子は満面の笑みでお礼を言った。 その反面、リョウは泣きそうな顔をしている。 結局、今日は僕ら三人の紹介だけして、明日また集まって相談することになり、この日は終了。 僕ら三人の平凡な日常に、女の子が割り込んできた。 そして この女の子の介入が、僕らの日常を少しだけ忙しくしたのだった。
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