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胸の中、彼のことを考えるだけで幸せな気持ちになる。
ふわふわ甘い砂糖菓子のような、そんな笑顔が素敵。
今日もまた彼は教室で友達とおしゃべりしてる。
少し耳を傾けて盗み聞き。
彼のことをまた一つ知る。
「みっちゃん?みっちゃーん」
あたしを呼ぶ声に、あたしははっと目を開けた。
あたしの顔を覗き込んでいるのは、幼なじみのりっちゃんだ。
山崎理緒、りっちゃん。
「ごめんっ。えっと…なに?」
「ぼんやりしすぎ。みっちゃん、世界史のノート取ってるよね?あたしのノート、まとめられなくて、もうぐちゃぐちゃになっちゃって。写させて」
あたしはりっちゃんに言われて、バインダーに挟んだ世界史のノート、というか、ルーズリーフを探す。
ルーズリーフは便利だ。
りっちゃんはあたしの机で、さっそくそれを写し始める。
「うわぁ。みっちゃんのノート、わかりやすいっ。助かるっ」
なんて誉めてくれるから、少しうれしい。
休み時間、あたしのすぐそばの席の友達の席に彼はきて、その友達と楽しそうに話す。
その声に耳を傾けながら、あたしはりっちゃんの話を聞いてる。
どっちを聞いてるのか、はっきり言ってわかんない。
「やっぱ、細いほうがいいだろ?」
「いやいや、がりがりよりぷにぷにのほうが、さわり心地いいって」
がりがり?
……ぷにぷに?
女の子の体のことかな?
あたしは自分の腕にふれてみる。
夏休みが終わっても、制服はまだ夏服。
半袖はこのぷにぷにどころか、ぽちゃぽちゃの腕を隠してくれないから嫌いだ。
目の前のりっちゃんの腕は細くて。
折れそうな手首は羨ましい。
「おまえはどっちがいい?高谷」
高谷くんっ。
あたしの耳はぴくぴくっとその名前に反応する。
「んー、ぷにぷに?」
高谷くんは答えて、あたしは少し、ほっとした。
がりがりは程遠いから。
少しでも近いほうがうれしい。
「広瀬さんのこういうの」
って、あたしの腕がいきなり持ち上げられて。
口をぽかんと開けて顔を上げると、そこには高谷くん。
えっ?…えぇっ!?
あたしは真っ赤になってしまう。
「高谷、気安くあたしのみっちゃんにふれるな」
って、りっちゃんが高谷くんの手を振り払ったけど。
ふれられたところから…真っ赤。
うれしい…。
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