Crazy for you?(Kippei)

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何をどう声をかけるか迷った。 迷ったけど、今を逃して、次に会えるその日がいつになるかもわからない。 もしかしたら二度と会えないかもしれない。 「芳乃さん」 俺はその名前を呼んだ。 女たちは振り返り、芳乃さんは俺に会釈をする。 「桔平ちゃん、あけましておめでとう。きょうちゃんが出てきてくれちゃうから、挨拶していなくてごめんね」 彼女はいつものように言ってくれて。 「芳乃、それ違うでしょ?」 「そうよ、芳乃ちゃん。桔平ちゃんがわざわざ追いかけてきて、芳乃ちゃんに声をかけるんだから」 なんて、俺の目的、まわりの女たちのほうに気がつかれてる。 俺はあまりにも俺らしくないことをしでかして、頭を抱えて喚きたくなる。 本気で恥ずかしい。 なのに、彼女はというと、笑って否定してくれてる。 それも…嫌だけど。 「初詣、いかない?二人で」 俺はがんばった。 彼女以外なら軽く誘える。 彼女だから、そんな誘いもがんばらないとできない。 彼女は驚いたような顔を見せて。 彼女よりも、まわりが彼女をおいて逃げるようにいなくなる。 いいような、悪いような。 まぁ、いい女たちだとは思う。 20代も後半のくせに、まだ一人として結婚していないようだけど。 それを口にすれば非難されまくりそうだ。 俺は芳乃さんと二人で、近くの神社へ向かって並んで歩く。 「…私、新年から狐に摘ままれたようなんだけど?お稲荷様に挨拶しなきゃ」 「…そんなに意外?」 「だって桔平ちゃん、モテるでしょ?私、自慢じゃないけど、モテないわよ?職場が女ばかりというのもあるけど」 「どんな職場?何してる?」 「そういえば、もう3年目のおつきあいなのに、私も桔平ちゃんの仕事知らない。私は秘書課。社長は女友達だけど。一応、秘書」 「俺は…言いたくない」 言おうとしてやめた。 軽く見られそう。 確かに遊んでいたけど。 彼女に軽く見られたくない。 「なーに?お水?桔平ちゃんなら似合いそう」 言わなくても軽く見られているし…。 「クラブDJ」 「なに?ちょっとかっこよくない?」 「かっこいいか?」 「…更にモテていそう」 まるでモテる男に興味はないと言われたようだ。 モテる、は、誉められている気はしない。
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