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「くそ!まだ追って来やがる!!」
暗い森の中、僕は何に追われているのかわからないがひたすら真っすぐ走って逃げている。
手にはどこで拾ってきたのか泥がついた傷だらけな茶色の本が握られていた。
後ろは怖くて振り向けない、いや振り向く事が出来ない。
今の僕に出来る事は限られている。
考えるだけ
僕は今自分の意思で走っていない、まるでこの状況を客観的に見ているような感じでもあるが現実感もある。
ただ、僕はこの後起こる事だけは知っている。
あと少し、あと少し走れば…
その時いきなり目の前をまばゆい光が包み込む。
僕は反射的に目をつむる。
《なんなんだよ…くそっ、一体誰なんだよ》
薄れゆく意識の中で僕は確かに光の中に人がいる事を見逃さなかった。
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