Creator The Book

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「え? 今ここで?」 「そう、今。 まずそれが出来ないと話しにならないもの。 クリエイターにまつわる本を強く頭の中で思い描くの。 今、ここにあるかのように形や重みまでもイメージできないと本は現れないから」 綾奈はそれだけ言うと、永久から少し距離をとる。 「わかった。やってみるよ!」 《えぇと、どんなイメージだろ? いつも妄想ばかりしてたけど、物を作りだすイメージってやった事ないな…》 永久は気持ちを落ち着ける。 綾奈がしたのと同じように右手を前に出し、その先に先程 創造世界で見た本と同じ物があるよう強くイメージする。 色、形、重さ、質感、匂い この全てを永久は強くイメージする。 すると、結果はすぐに訪れた。 バチッ バチッ 手の先で静電気でも起こったかのような放電音の後、永久の前には、自分が思い描いた通りの本が浮いていた。 「やった!!出来たよ! 凄いやこれ! 超能力みたい! ねぇ! 君! 見てた?!」 永久はこれまで自分にこんな力があった事を知らなかった為、本を創り出せた事がとても嬉しかった。 だが… 「うそ、 …なんで出来ちゃうの」 「え? いやー、自分でもビックリしてるよ!本当に出来ちゃうなんて!!」 「違うの、貴方は出来るはずがないの。」 「何をいってるの? やれって言ったの君じゃないか?」 「正確には『この世界』では今の貴方に創れるはずがないの。 等価交換って知ってる? 物を創りだすにはそれなりの代償や他の物が必要。 私は貴方に一度この世界でクリートを行ってもらい、失敗した後、ビジョンへ行き、再度クリートをしてもらうつもりだったの。 あそこでは等価交換を無視出来て簡単だから。 でも、現実世界でクリートを行うには相当な修練が必要。 貴方はそれも無視するなんて…。 本当、めちゃくちゃね。」 「そうだったの? なんか僕おかしいのかな…? それよりも、わざわざ出来ない事知っててここでやらせたの?! 君も結構意地悪なんだね!!」 永久は笑いながら綾奈に言い返す。 永久は余り学校で笑う事がない、自分と接してくれる人がいるだけで少し楽しい気持ちになったのだろう。
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