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そんな永久が現実から逃れる為に身につけたものが『妄想』である。
幼い頃からイジメられ体質な永久は、本を読むか、妄想の世界の中に逃げるようになっていった
妄想の世界では誰もイジメて来ないし自分の好きな事が出来るから永久にとって妄想の世界こそが唯一安全な場所であった。
HRも終わり、そのまま1時間目の数学は担任の受け持ちになるのでそのまま授業が始まる。
この日も机を隠されるイジメを受けた永久は授業中も妄想の世界に入り込む事になる。
《先生もなんも言ってこないし、とりあえず最初の授業だけはこのまま頑張って休み時間に机を借りにいくしかないな》
周りの生徒は永久を見てニヤニヤ笑う者や、自分は関係ないと見て見ぬふりをするものがいるが永久にとって皆一緒である。
『人間は皆何を考えているかわからない生き物だ。しかし訓練を詰めば相手が考えている思考に入り込む事も可能である』
急にこんな言葉を思い出した。
《あれ? どっかでこんな事を聞いた事あるな?
いや、読んだんだっけな?最近は思い出せない事ばかりだよ。》
そう考えながら永久は授業開始10分後には徐々に妄想の世界へ入っていく。
今日の妄想は、自分はクラスの人気者でありクラスの皆が自分を囲んでたわいのない話しをしている内容であった。
自分をイジメるグループまでもが永久を慕って話しかけてくる、普段言えない事までもここでなら好きな事が言えるのだから、実にいい気分だ。
しかし、異変とは突如起こるものだ
ザザッ ザーッ
永久が妄想の世界にふけていると、まるでテレビの画面にノイズがかかったかのように妄想世界が乱れたかと思うとまた元通りになった。
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