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「な、なんだ!?」
こんな事はこれまで一度もなかった永久は動揺を隠せず思わず叫んでしまう。
しかし、異変はこれだけでは終わらない
ガタッ
教室の窓際の席に座っていた女子がいきなり立ち上がったかと思うと、永久へ近づいてくる。
「ちょっと待って!え?止まれ!止まれっ!」
なおも永久に近づいてくる女生徒、永久はなんだか怖くなり咄嗟に目をつぶろうとする。
その時、
「待って」
女生徒が呟く、永久はその声を無視して目つむる。
妄想世界では目をつむると現実世界に戻る事ができる、 よって現実世界に戻った永久は目を開き先程の女生徒が座っていた席を見る。
《良かった!こっちではなんともないや!一体何だったんだ? それよりも、あの席って確か小太りの男が座っていたんじゃ…》
その時、
『ガタッ』
まるで先ほどの妄想世界のデジャブを見ているかのように窓際の席の女生徒が立ち上がった。
「!!!」
流石に永久もこれにはのけ反った。 一体なにが起ころうとしてるのか?
永久の緊張が最高潮に達したとき女生徒がこちらを振り向きもせずこう言い放った。
「先生、トイレ。」
それは良く耳を澄まさなければ消えてなくなりそうな声だったが彼女はそう言い残すと教室から出ていった。
《トイレかよ!本当焦ったよ!このタイミングで席立たないでしょ普通!》
この教室の中で彼女の声を聞き取れたのはほんの数人だろう、
現に永久も彼女に意識してなければ勝手に教室を出てったと思う程であった。
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