『聖女伝説』

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   花都の始まりに、二神あり。男神と女神なり。交わりて、花数多生む。一花は開きて土を成し、一花は開きて風を成し、…(中略)…、一花は開きて人を成し、一花は開きて家を成し、一花は開きて富を成し、一花は開きて栄を成す。全て花に因りて成るために、これを花都と呼ぶ。  花都なれば、咲き、枯れ、散り、実り、また芽吹き、暦を還す理なり。しかれども、暦の巡りの乱るる事あらば、花都は根より腐し、絶ゆるのみ。  花都の腐にあり汚れし時、来る娘あり。彼の娘、聖女なり。二神の、花都の腐にあるを嘆き、新たに生みし花より成る娘なり。これ、都に光をもたらす者。稀にし力にて根より腐を除き、花都を清らに遡(さかのぼら)す。  しかして、再び、花都に暦の巡り永くある。  
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