第一章「追い込まれた男」

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 なんとしても、サッカー選手になりたかった。それは努にとって、幼い頃からの夢であった。日本代表の青いユニフォームを身に纏い、ワールドカップで活躍することを夢見て、日々ボールを蹴り続けた。  地域のクラブや、ユースチームには入れなかった。その為、学校のサッカー部で、朝から晩まで練習に励み続けた。だが、国立などの舞台に上がることもなく、高校に進学してからの三年間は、呆気なく終わってしまった。当然、Jリーグなどのスカウトなど、来るわけもなかった。  それでも、努は夢を諦めることはできなかった。そんな時、漠然と海外に行きたいという気持ちが強くなった。海外の、高いレベルで自分を磨きたい。その気持ちは、努の中で膨れ続けた。その日から、スペイン語の勉強を開始し、バイトもしながら準備を整えてきた。
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