24人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、新しい学校の手続きのため、母親に連れられて学校へ行く事となった。
「道を覚えなきゃいけないから」
という理由で、車ではなく、歩いて行くことにした。
学校までの道のりは、まずアパートまでの坂を下って、線路を越えて、長い橋を渡り、交差点を渡った所にあった。
片道だけでも疲れてしまい、これを毎日通うのかと思うと、気が遠くなりそうであった。
学校に着くと、中にいた先生が案内してくれて、母親と共に校長室へ入った。
中に入ると、気の優しそうな男の人がいた。どうやら、この人が校長のようだ。
母親と挨拶を手短に行うと、後から女の人が入ってきた。
「こちらが、担任の平良先生」
と校長が紹介すると
「担任の平良 徹子(タイラテツコ)と申します」
と深々とお辞儀をした。
すると、校長が
「こちらが…」
と言いかけると、母親がポンと肩を叩いたので、
「小賀地 春樹(コガチハルキ)です」
と自己紹介をした。
握手を求められたので、平良先生と握手をした。
手を離すと、緊張をしていたせいか、手が汗だらけなのに気付いたので、手をズボンで拭うと。
「おいおいっ」
と平良先生に言われ
「あっ…いや…」
と慌てて誤解を弁明しようとしたが、笑われてしまった。
「面白い子だから、早く友達が出来ますよ」
と平良先生がフォローしてくれた。
母親は手続きの書類を提出しすると、部屋を後にした。
平良先生が見送りをしに外へ出ると、春休みだから校庭で遊んでいた少年2人がこちらへ走ってきた。
「おっ、丁度良かった。転校生の小賀地 春樹君」
と平良先生が言うと
「マ~ジで~?」
と声を合わせていた。
よく見ると顔が似ている。
「半田 恵一(ハンダケイイチ)と大慈(ダイジ)。よろしく~」
と二人同時に握手してきた。
「それじゃあっ」
と言って2人は走りさった。
「早速友達になったみたいだね。あの双子はとにかく元気だから」
平良先生は少し笑った。
校門まで見送ってくれて、そこでまた挨拶をすると、長い帰り道を歩いた。
ようやくアパートに頃には、日は落ち始めていた。
『昨日は忙しかったから、ここの夕日を見るのは、今日が始めてだなぁ』
そう思いながら外で夕日を眺めていると、会社の挨拶に出掛けていた父親が帰ってきて、一緒に家に戻った。
最初のコメントを投稿しよう!